私の考える「日中活動」について ~働くことの意味と職員の役割~
筆者にとって、利用者の日中活動とは“充実した人生に欠かせないもの”であると考える。日中活動とは働くこととほぼ同義であると思われるが、「人は働くこと無くして“充実した人生”を営めるか」と問われると、筆者は「基本として、営むことはできない」と答える。
その理由としては以下の通りである。働くことには多様な意味が存在し、主に以下の四つが挙げられる。
一つは生活のメリハリである。働く時間と余暇の時間のメリハリをつけることにより、ダラダラとした生活を避けることが可能となるのである。
二つは生計の維持である。人が生きていく為には衣食住等の生活費を始め、様々なものにお金が必要である。その為、人は働くことによりその対価として賃金を貰い、この賃金により生計の維持が可能なのである。
三つは自己実現である。人は働いて行く中で、自分の能力や個性等を活用していくことができる。創意工夫をこらして困難を乗り越え、自己の理想を実現していくことはその人にとって大きな喜びにつながるのである。
四つは社会的役割の実現である。人は働くことにより、社会人として社会に参画することができる。この中では仲間を作り、周囲に自分の存在を認めて貰い、自分自身の達成感や満足感を得るといった機会がもたらされ、自己の存在意義を確認することが可能である。
“働くこと”とは上述した四つの意味の通り、自分の人生を充実させる為に非常に重要なものである。二つ目の生計の維持に関しては、障害年金等が支給されていれば働かなくても暮らしていくこと自体は可能である。しかし、これのみの状態では、他の自己実現や社会的役割の実現を得ることはできないのである。障害者支援施設の職員はこのことを理解し、利用者の人生が“充実した人生”になるよう支援をおこなう必要がある。
これを踏まえ、現在くすのき園では日中活動の全般的な見直しをおこなっている最中である。魅力的な活動を提供することにより、利用者の人生を豊かにしていくことが筆者ら職員の役割(使命・職責)であると考える。
~参考文献~
福祉臨床シリーズ編集委員会「就労支援サービス」弘文堂 2012
目黒輝美・佐々木哲二郎・泉浩徳「生きている働いている―障がい者の就労を地域で支える」大学教育出版 2012
日本社会福祉士会「ソーシャルワーク視点に基づく就労支援実践ハンドブック」中央法規出版 2010
サービス管理責任者 國弘直樹